お知らせ・日記
不動産鑑定士の副業(複業)2
不動産鑑定士という資格と相性の良い、または相乗効果が見込めそうな副業(複業)について以下のとおりまとめてみました。
① 宅地建物取引業
② 不動産賃貸業
③ 株式投資(日本株投資)
④ J-REIT投資
①宅地建物取引業、いわゆる不動産業については、宅地建物取引士の資格をお持ちの不動産鑑定士は相当数いると思われますので、不動産業を開業すること自体に関しては費用はそれなりにかかるもののハードルはさほど高くないと思われます。実際、不動産鑑定業および不動産業の二足の草鞋を履いておられる方も多くおられると思います。不動産業と言ってもかなり幅が広くはなると思いますが、交渉能力に長けている方は不動産売買仲介、情報力や目利き力に長けている方は不動産買取再販などが複業としては適していると思われます。また、相乗効果としては、普段から価格査定センスを磨ける、不動産の情報力UPにもつながるのではないでしょうか。
②不動産賃貸業についても、もともと大家業を継がれた不動産鑑定士の方も多いと思いますが、不動産鑑定士であれば、価格に精通し、不動産の情報もそれなりに入ってくると思いますので、それらを生かして、安定した不動産賃貸業も複業としては王道なのではないでしょうか。不動産鑑定業との相乗効果が見込めるかどうかについては、やや疑問符がつきますが、リフォーム等を普段から行っていれば、修繕費など生の情報を得ることができますので、より現実に近い収益価格の試算にもつながるとは思われます。
③株式投資(日本株投資)については、開業不動産鑑定士の方は比較的時間に自由があると思いますので、株式相場のチェックも容易かと思われます。また上場している不動産会社または関連会社の株式相場、銘柄などをチェックすることを通じて、不動産市場の動向などの情報収集にもつながりますので、株式投資をしている不動産鑑定士の方も一定数いるかと思われます。
④J-REIT投資については、不動産鑑定士界隈でも賛否両論あると思います。現物不動産投資(不動産賃貸業)と比較すると融資が使えない、利回りが低い、株式投資と比較するとキャピタルゲインが得られない、高利回り現物株式と比較して必ずしも利回りが高いとは言えない、近年特に人気の株主優待制度がほとんどない、などです。要は投資としては面白みに欠けるということでしょうか。ただ、現物不動産投資と比較して失敗するリスクが極めて小さい、株式投資ほど価格変動(ボラティリティ)が大きくない、などそれなりのメリットもあるかと思います。また、J-REITが扱う物件については、個人投資家等が取得不可能な巨大な物件がほとんどで、これらの物件群が日本の地価に大きく影響していることに鑑みれば、夢を買う意味でもJ-REIT投資は意味があるものだと思います。特に物流施設に特化したREITなどは個人的にはお勧めです。単元が比較的安いREITを時期をずらしてこつこつ買うことは株式投資と比較して、新NISAとの相性もいいのではないでしょうか。
個人の方からの区分マンションの評価、査定依頼が急激に増加
大変ありがたいことですが、ここ最近、個人の方からの区分マンションの評価や査定依頼が急増しております。
会社を立ち上げる際に、個人から法人へマンションの所有権を移したい。
財産分与の際に、適正な価格が知りたい。
現在の資産価値が知りたい。
など、ご依頼される目的は様々です。
あくまでも私個人の意見にはなりますが、不動産鑑定士の仕事は基本的には、いわゆる B to B の仕事がほとんどを占め、中でも、官公庁様からの依頼が多い。そのようなイメージを持っております。
個人の方からの依頼が今後も順調に増え、不動産鑑定士の知名度向上に少しでも繋がればと思っております。
弊社におけるペーパーレス化について
不動産鑑定士の副業(複業)1
本業がおろそかになるから、副業はよくないという時代は終わりつつあると思います。また、副業しやすい環境も近年では整備が進んでいると思われます。
副業のメリットとしては、
☆収入の安定化に寄与する
☆気持ちの余裕につながる
☆スキルアップにつながる
などがあると思います。
不動産鑑定士という資格と相性の良い、または相乗効果が見込めそうな副業(複業)を自身の経験も交えて今後あげていきたいと思います。
不動産鑑定事務所開業マニュアル
不動産鑑定業・不動産調査業メインで開業される方向けの不動産鑑定事務所開業マニュアルです。
20代で自宅開業した私の経験を基にしておりますので、ご参考までに。
(1)開業前の準備段階
①評価先例の入手
開業後(独立後)は基本的には全ての種別・類型の不動産鑑定について自分で対応する必要があるため、経験及び未経験の案件も含め多くの評価先例の入手をお勧めいたします。
②不動産鑑定評価書、価格等調査報告書の雛形作成
評価先例の入手と同時にいつ依頼がきてもいいように雛形を作成または入手します。私の場合、計算ミス・転記ミスをなくすため、評価書については基本的に表計算ソフトまたは専用ソフトを使用しております。
③実務書籍、実務マニュアル等の入手
上記①の評価先例と同様、様々な案件に対応するため、実務書籍、実務マニュアル等を入手いたします。絶版になっている有用な専門著書も多数あると思いますので、新書、古本等含め幅広く収集することをお勧めいたします。
④パソコン、カメラ、距離計等のツールの入手
個人的には、エクセル、ワード、写真整理ができる程度のスペックのパソコンでいいと思います。必ずしも高スペックである必要はないと思われます。ただ、メモリーが増設可能であれば増設をお勧めいたします。
近年はPDFで依頼資料を頂くことがほとんどですので、デュアル画面での対応も便利かと思います。
カメラはスマートフォンでもいいですし、コンデジでもいいと思います。ズーム機能や屋内の暗い場所での撮影が可能なものが便利です。
道路幅員や間口を計測するツールとしては、メジャー、コロコロ、レーザー距離計等を用意します。レーザー距離計も近年ではかなり安価になりました。
カメラや距離計については、いつも持ち歩くアイテムですので、お気に入りものを選ぶことをお勧めいたします。(ちなみに私はスマートフォンはiPhone、ライカのレーザー距離計を持ち歩いおります。)
⑤不動産鑑定業の届出
都道府県に不動産鑑定業の届出をします。詳しくは各都道府県のHPをご確認ください。
⑥個人事務所の届出あるいは法人の立上げ
個人事業で始める場合は税務署に届出、法人で始める場合は通常は司法書士の方にお願いして法人登記を行ってもらいます。法人登記については費用を抑えるため、または後学のためご自分でやられてもいいと思います。ただ、慣れてないと資料の不備などで何度も法務局へ行くことにもなるため、時間のない方、心配な方は司法書士の先生に法人設立をお願いすることをお勧めいたします。
個人事業、法人のどちらで始めるか非常に悩むと思います。私の場合は、多くの方がそうであるように、個人事業で始めて売上が軌道に乗った後、法人成り致しました。
個人事業、法人のどちらで事業を行うかは、売上規模のほかに個人の考え方やライフスタイルによるところが大きいとは思いますが、個人的には、依頼者からの信用力向上に大きくつながることから、最初から法人で経営されることをお勧めいたします。
法人については、赤字でも均等割の税金がかかる・申告のコストが増えるなどのデメリットを主張される方がいらっしゃいますが、それを遥かに上回るメリットがあると思います。
また、開業後は法人の代表者様と直接やりとりする機会も増えると思いますので、経営者様の考え方に少しでも近づくためにも法人経営を強くお勧めいたします。
⑦事務所賃貸あるいは自宅の一部の利用
私の場合は、自宅の一部で開業し、その後、自宅兼事務所を建設いたしました。自宅兼事務所の場合は通勤時間がゼロなので、その分評価作業も多くとれます。ただ、自宅では仕事ができない方や業務拡大を目指す方は仕事のチャンスの多い都心で事務所を借りて開業されることをお勧めいたします。なお、自宅開業のメリットは通勤時間がない、事務所の賃貸料・敷金等がかからないですが、デメリットとしてはかなり運動不足になりますので、適度なジョギングやウォーキング、ジムに通われることをお勧めいたします。
⑧ホームページの作成
開業する前から多くの顧客を抱えている方は少ないと思いますので、最低限ホームページは作成することをお勧めいたします。ホームページがないと多くの潜在的な顧客にとっては自分の事務所が存在していないのと同じです。ホームページは見た目も大事ですが、コンテンツ作りがより大事になろうかと思われます。
⑨事務所案内の作成
名刺だけでは事務所や代表者の情報が少ないため、営業ツールとして事務所案内の作成をお勧めいたします。
⑩複合機のリース契約・購入
近年はPDF等での電子納品も増えてきましたが、従来の紙による納品もまだまだ健在ですので、コピー・プリント・ファックスが可能な複合機のリース契約・購入の準備を行ってください。
(2)開業後
①不動産鑑定士協会への入会
(公)日本不動産鑑定士協会連合会のほか、地元の不動産鑑定士協会への入会手続きを行ってください。詳しくは各士協会のHPをご確認ください。
②商工会議所、法人会への入会
必ずしも入会の必要はないのかもしれませんが、会費もさほど高くはないと思われますので、地元の商工会議所、法人会への入会をお勧めいたします。
③青年会議所、異業種交流会への参加
私は未経験ですが、交流を深めたい方はこれらへの参加をお勧めいたします。異業種交流会でお仕事を受注されている方も多くいらっしゃいます。
④地方自治体等への名刺・会社案内配り
地方自治体等の土地の用地買収、公売などを行っている部署へ挨拶に行くことをお勧めいたします。
⑤不動産鑑定業者、他士業の方への名刺・会社案内配り
同業者である不動産鑑定業者のほか、他士業(弁護士、税理士・会計士)事務所への挨拶に行くことをお勧めいたします。
⑥不動産コンサル会社、金融機関の方への名刺・会社案内配り
不動産コンサル会社、金融機関への挨拶に行くことをお勧めいたします。
⑦開業後の心構え
不動産鑑定士という職業はその業務内容はおろかその職業名さえ世の中の多くの人に知られていない、非常にニッチな職業かと思います。世の中の多くの人にとってはあまり知る必要のない職業だと個人的には思っておりますが、必要な方にとってはなくてはならない必要不可欠な職業だと思っておりますので、その要望に真摯に答えていくことが不動産鑑定士の使命だと思います。
また、経験上、ビジネスをするうえで人としての最低限のマナー(電話に出る、電話をすぐにかけなおす、メールをすぐに返信する、 基本的には依頼を断らない、納期を必ず守る)をコツコツ行っていれば業務は軌道にのってくるんじゃないでしょうか。